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“すずかけの家”の「厄介な問題」に向き合う

今回は、僕が理事を務めるNPO自遊の広場、その中核事業である”すずかけの家”の「厄介な問題」に、真正面から向き合います。

昨年6月、人生で初めて介護・福祉の世界に足を踏み入れ、理事に就任しました。

見学や現場体験を重ねる中で、利用者さん一人ひとりの人生に寄り添い、時間をかけて信頼関係を築くスタッフの姿に、何度も胸を打たれました。

効率よりも存在を大切にする。制度よりも暮らしを優先する。

その姿勢こそが、この場のかけがえのない価値だと感じています 。

しかし半年あまりが経ち、別の声も聞こえてきました。

慢性的に厳しい収支、改善されにくい待遇、将来像が見えにくいことへの不安。

理念を守ろうとすればするほど、スタッフの善意や献身に依存している構造的なねじれもありそうです。


素晴らしさを成り立たせている土台に、静かな危うさがある。

そこで、創業に関わってきた方と現場スタッフの方とでいまと未来を語る雑談の場を持ちました。

話題は「どう続けるか」という話ではなく、「何を継承したいのか」という原点へ。

創業から現場の中心に立ち続けてきたご夫妻が年齢を重ねたいま、次の世代を意識せざるを得ないタイミングに来ています。


ご夫妻のやってきた献身そのものを、そのまま再現できる人はいない。

だからこそ今、必要なのは“後継者を探すこと”ではなく、“何を残すのかを定めること”のはずです。

施設では、これまでも丁寧な話し合いが重ねられ、建物の改修や情報共有の改善など、具体的な施策は着実に打たれてきました。

しかし、その土台にある、より大きなテーマにはまだ正面から触れられてこなかったように思えます。

施策が動けば動くほど、問いの置きどころが定まらないまま、微妙なズレが積み重なっていく。

 「収支をどう改善するか」ではなく、「私たちは、何を守ろうとしてきたのか」

 「誰が継ぐか」ではなく、「何を軸として継承し、いかに再構築するのか」

問いが変わると、すぐに答えは出なくても、選び直すべき分岐が見えてきます。

 続けるのか。役割を終えるのか。

 その前にこの組織は何のために存在しているのか。

それを安全に扱える場をつくること。いま本当に必要なのは、そこなのだと思います。

理事として、そしてクリエイティブファシリテーターとして、僕が担うのは答えを出すことではありません。

この「厄介な問題」を、チームが向き合える問いへと書き換えること。


理念と現実のねじれを、対立ではなく探究に変えること。「わからない」状態は消えない。でも、「止まっている」状態ではなくなる。

すずかけの家の次の一歩は、 施策ではなく、問いから始めます。

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