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ゴーンさんへの”Active Hope”

ゴーンさんが再逮捕される前日に収録したという動画が公開されました。

彼が強く望むように公正な裁判を受けられることを願っています。

さて、今日、ここで取り上げたいのは、彼が有罪か無罪かということではまったくありません。

彼の発言の中で一番気になった以下の部分。

 

「テーブルを囲んでコンセンサスで意思決定していくのは、自動車業界ほど競争の激しい産業では何らのビジョンも生み出さない。必要な時にはリーダーシップを発揮しなければならない。

これは独裁ではなく、いかなる会社でも行われている。

コンセンサスか独裁かの二つの選択肢しかないと考えている人はリーダーシップの本質を理解していない。複雑で巨大な組織のトップだった者としてとても悲しい」

 

複雑かつ巨大な組織をマネジメントすることの困難さは、かつて日米の大企業で中間管理職を務めた身なので、ある程度わかる気がします。

その上で、2点申し上げます。

 

一つ目は、それがリーダーシップであろうが、独裁であろうが、コンセンサスなくトップが決めて進めねばならない大企業という大きなシステムで、果たしてそこで働く人たちは幸せなのだろうか?という点。

巨大組織だから「やむをえない」のだとゴーンさんは言ってます。

でもそのシステムをつくったのは人間なんです。そのシステムは、本当に人間を幸せにするものですか?

 

二つ目は、悲しむゴーンさんへ朗報です!可能性のあるお話です。

ジョアンナ・メイシーとクリス・ジョンストンによる著作『アクティブ・ホープ』には、私たち人間が生み出し得体の知れないモンスターとなってしまったシステムから「大転換」するヒントが実践論として書かれています。

一部だけ要約します。

これまで当たり前と思われていた「力」の認識を大転換すること。

「旧来の力とは、資源や影響力に特権的なアクセスが保障され、人を支配する立場、あるいは人より優位な立場にあることに付随するものであった」=「抑える力」

一方、もう一つの力があり、それは「他者を支配することではなく、私たちが置かれた無茶苦茶な状況に対処することができる」力=「つながる力」

「もしも会話する双方に、新しい境地を切り拓きたいという気持ちがあり、実際に切り拓く勇気があるならば、お互いの言葉に耳を傾けることによって創造の場が生まれ、そこから新しい可能性が姿を現す」

これは「二者あるいはそれ以上の関係者が協力し合い、それぞれが別個に作業したのでは得られなかった結果をもたらす」

そう、「創発」の力なんです。とんがり研もこの力を生かして活動しています!

大きなシステムにいきなり適用することは不可能です。でも、やれるところから、身近な二者からでもいい、始めてみましょう。

 

私は「大企業解体論者」(笑)ですが、別に強制力を使って解体するという意味ではなく(それは旧来の力ですね)、内側の人間が創発の力を使って、その弊害を内発的に解かしていくことが必要だと考えています。

それが、まず一人ひとりの人間のため。ひいては、組織のためになると。

 

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