11/2から3日間、甲府で行われた“人類学×デザイン”をテーマにする合宿に参加してきました!
何、それ?って感じですよね。動機はシンプルです。
数年前に比嘉夏子さんという人類学者のこの記事を見て共感しまくりでした。
要は、創造的なアウトプットを導くためには複雑な問題をありのままに捉え、そこに潜む要素や関係性の本質を解きほぐしていくプロセスが大事だと僕も感じ、実践してきたから。
で、数ヶ月前に、その比嘉さんがアカデミアの世界を飛び出し「人類学者の目をインストールする」ことをミッションにした会社を立ち上げたのを知りました。
これは注目だなぁと思っていた矢先に、この合宿の情報が転がりこんできたのです。
このような場合、僕はほぼ衝動的に行ってみる選択をしてしまいます。
ということで、何をやるかもよくわからないまま甲府に向かいました。
初日の昼間は、人類学の今日的な意味合いなどについての講義や対話。
「人類学とは、世界に入っていき、人々とともにする哲学である」(ティム・インゴルド)
なるほど〜
わかったような、わからないような。で、夜は、いきなり甲府のまちのフィールドワークに放り出されました。
どこか気になる飲食店にひとりで入って、そこでの体験をフィールドノーツに記述するのです。
僕の入ったお店は、いかにもあやしいストリートの中にある居酒屋でした。
入ってみると、無口なマスターと常連客そしてひとり飲みしてる人たちによ居って成立している心地のいい空間でした。
注文した料理がどのように調理されるとか、マスターのしぐさや受け答えとか、店内の様子とかをつぶさに観察しました。
お店を出てから、その店での体験を、スタバで酔いを覚ましながら、手帳にたくさん描きました。
今回の合宿のおもしろいところは、このときの体験や記述を、今度はデザイン的アプローチで「プロトタイプ」=モノとして試作していくのです。
お題は、そのフィールドで得た感覚を他者と共有する。えっ、感覚をモノで表現するの???
まぁ一言にすれば、二日目から三日目にかけてのその作業は、困難を極めました。
運営側の人類学者やデザイナーに壁打ちしてもらえばもらうほど、よくわかない混沌の世界に入り込み・・・
一応、最後にプレゼンまでしたのですが、実際は混沌のまま終わりました。
そして、残ったのは以下のような反省や疑問です。
*フィールドワークではいろいろなものを五感使って捉えてみようとして、かえって要素分解的に捉えてしまった感が残った。
*この結果として、ノーツを編集するとき体験を深める視点があまり持てず、結局、ひとつの感覚を選ぶときには他の大事な感覚を切り捨ててしまったかもしれない。
*デザインのところでは、つくりながら気づく、わかることをしたかったが、感覚の深掘りがされていなかい中では、なかなかそうはならなかった。
では、どうすればよかったか?こんな問いがぐるぐるを頭の中を巡っています。
が、これこそ冒頭に書いた「複雑な問題をありのままに捉え、そこに潜む要素や関係性の本質を解きほぐしていくプロセス」なのかもしれません。
これまで僕は混沌の中に身を置き、新たな秩序を見出すことを得意だと自認してきましたが、それはビジネスフィールドでのこと。
もっと広い世界があることを人類学的に学ぶことができ、これからも成長していけそうです(笑)。