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最期まで「ありがとう」を言い続けた友へ

今回は、私ごとの話を書かせていただくのをお許しください。

大学時代のグリークラブの同期で、親友の鈴木英次が、末期癌のため亡くなりました。

英次は、誰にも愛される稀有な存在でした。

緩和ケアの病室には、ひっきりなしに友人や知人が訪れ、ついには病院側が面会制限をかけるほどでした。

昨年12月2日、英次から一通のメッセージが届きました。

「こんにちは。
6日会えないかもしれません。
ごめんなさい。
早ければ明後日入院になりそうです。
緩和ケアの病棟かも。
最悪の場合、そのままかもしれません。
野口に会えないのは悔しいです。」

このメッセージを読んで、僕はその翌日、車を飛ばして彼の自宅に向かいました。入院前のひとときを彼と過ごしたい一心で。

昔のこと、今のこと、そして、これからのことを、静かに語り合いました。

12月4日に都心の病院に入院してからも、相模湖畔から通い続けました。

医師からは「年を越せないかもしれない」と告げられていましたが、彼はその言葉をよく裏切り、年を越し、1月23日に静かに永眠しました。

強く心に残っているのは、最期の最期まで、英次が「ありがとう」を欠かさなかったことです。

苦しい状況の中でも、見舞いに来た人一人ひとりに、医療スタッフの方々に、ご家族に、何度も「ありがとう」と言葉を添えていました。

スティーブ・ジョブズが、死の前に語ったとされる象徴的な言葉があります。それが本人の言葉かどうかは確認されていませんが、次のような一節が知られています。

「私が持っていけるものは、愛情にあふれた思い出だけだ。」

英次の姿を見ていて、僕は改めて思いました。

人は、何を達成したかよりも、何を大切にして生きたかによって、最期に残るのだということです。

彼は、それを言葉で説明していたわけではありません。でも、感謝を手放さず、人とのつながりを生き切るという在り方そのものが、彼の人生の軸だったのだと思います。

英次、ありがとう。
お前の生き方は、これからもたしかに、僕の中で生き続けます。

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