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《マネジメントらしんばん》

マネジメントという概念は、対象とする範囲が極めて広いため、何をどう捉えればいいのか苦慮しがちです。

そこで、現代で最も包括的な思想家とされるケン・ウィルバーが提唱した世界観である「4つの象限(The Four Quadrants)」(縦軸を「個的」/「集合的」、横軸を「内面的」/「外面的」とする2つの軸で形成する4象限)をベースに、

僕の師匠であり、とんがり研のアドバイザーでもあるK先生(青木孝一)が構築した「マネジメントらしんばん」を使えばその疑問を解くことができます。

縦軸を「方向付ける要素」⇔「基盤となる要素」、横軸を「内面的(目にみえにくい)」⇔「外面的(目に見えやすい)」と定めて、4つの象限をつくります。

するとマネジメントを左上から時計回りで「想い」「ビジョン」→「戦略」「商品・サービス」→「業務のしくみ」「人・組織の動き方」→「コミュニケーション」「組織文化」と順に流れを追いながら、しかも統合的に把握することができます。

たとえば起業の流れを思い浮かべるとわかりやすいでしょう。

まず、創業者(およびその仲間たち)が、お客様や世の中にこんな価値を届けたい、社会をこう変えたいみたいな強い①「想い」がはじめにあるはずです。

それがもう少し明確な②「ビジョン」になり、それを実現するための基本方針である③「戦略」に、さらにはその具体的なカタチとしての④「商品・サービス」にと進化していきます。

次に、それを効果的にお客様に届けるための効率的な⑤「業務のしくみ」と、それを動かす人や組織が力を発揮できるための⑥「人・組織の動き方」が設計され、

実際に動いていくときに、人や組織の間に生まれるのが⑦「コミュニケーション」で、それが積み重なることで⑧「組織文化」が出来上がっていきます。

ここで問題になるのが「マネジメントらしんばん」が長期間回転して、組織や事業が安定してきたときなんです。

すでに出来上がっている状態の中に入ってきた新しい人たちには、このような流れは見えにくいですし、見えなくても仕事はできるんですね。

大企業などはその典型例かもしれません。でも、この循環が意図的に行われなくなって、それぞれの領域で部分だけをうまくやろうとする動きが出てきたらどうでしょう?

いまビジネスの現場で行われていることは、この8領域のどこかを切り出して、その専門家にソリューションの提供を安易に求めるということが少なくありません。

このような要素還元的なやり方では、既に経験したことのある問題は解決できても、未知の問題には対応できません。

そもそも問題の本質が見えていないのに、先にソリューションありきのアプローチがいかに役に立たないかは自明のことでしょう。

僕は「マネジメントらしんばん」を使いながら、クライアントのみなさんと一緒に、組織が直面する問題を統合的に観ていくことを大切にしています。

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