僕は2006年にコンサルタントになりました。そのキャリアは15年ということになります。
人・組織を専門領域にするコンサルティング会社の場合、人財開発という側面から「研修」を手がけるところが多いというか、むしろ「研修」が主力というところもありますね。
しかし、僕が前職で所属したスコラ・コンサルトというユニークな会社は、創業者の柴田昌治さんが「研修」へのアンチテーゼという意味合いも込めて設立した経緯もあり、「研修」を単独で売ることはほとんどありませんでした。
主領域とする組織風土改革のプロセス支援は、一人ひとりの目にみえにくい想いや関係性などを扱うので、「研修」化しにくいということもあったかと思います。
ということで、僕もいわゆる「研修」講師を経験することは、ほぼありませんでした。
ところが、3年前に独立してからは、大手の研修会社さんなどから「研修」の引き合いを結構いただくように。
ただ、研修会社さんが社内の講師でなく、僕にわざわざ持ちかけてくれる類のものは、既存のプログラムを受託運営するというようなものではなく、
お客様の新規のニーズを踏まえて、ゼロから設計・開発するというものでした。
一番最初に手がけたのは、コロナ禍になり、リモートワークを世の中の多くの会社がせざるをえない状況になり始めたときに、
企業人事や人材開発担当者に向けて、「オンライン研修の企画・設計のしかた」を扱うものでした。
ただ、僕がかかわると当然(笑)、答えを示す方式でなく、オンラインの特性についてのエッセンスを提供した上で、参加者に少人数のチームを組んでもらい、いくつかのフェーズに分けて、問いと関わり方を示して、あとは対話していくスタイルになります。
他の研修会社が、同種の「研修」ではhowを中心に教える形式だったので、そのプログラムは(自分たちでそれぞれに答えを見つけていくという点で)かなり面白がっていただけました!!
と同時に、僕自身も「研修」の可能性に大いに気づかされる機会になりました。
「コンサル」の場合、基本的には、同じ対象者に、継続して(風土改革の場合、数年がかりというのが標準的)、かつ、たっぷり手間暇かけながらかかわります。
しかし、「研修」の場合、短時間だし、構成も明示しながら、まして、オンラインだとテンポよく進めていく必要があるし、1回完結ということも多い
わけです。
そんなある意味の制約を一つひとつ乗り越えていくときに、おもしろいことが起きました。
従来、コンサルとして価値提供していたエッセンス部分を、たとえ短時間でも、少ない回数でも、お届けすることが実はできることがわかったんです。
どういうことか???
多分に、こちらサイドの思い込みがあったということだと、いまはとらえています。
例えば、あるフレームを提示したとしても、それを答えではなく、軸として、高速回転で対話が回り、短時間でも、発散→創発→収束という流れをつくったりすることはできるのです。
深い対話には多くの時間をかけなければならないという前提を疑ってみる。
僕がいまさまざまなテーマ(中計策定、ビジョン構築、心理的安全性の向上、キャリアデザイン等々)における価値提供で活用してるのは、
上記のような、研修のようで研修でなく、コンサルのようでコンサルでもない、その「あいだ」のような形態が圧倒的に多くなりました。
自分の中では、ちょっとしたイノベーション!!