かつては、はたらく場所として「誰もがうらやむ大企業」なんてフレーズがよく使われましたが、
いまは、ちょっと状況に変化が起きているのかもしれません。
先日、売上1兆円の大企業で将来を嘱望されていた中堅社員の友人が、スッパリと会社を辞めて新たな道に転じました。
現在は、ある領域に特化した伸び盛りのコンサル会社で、クライアント企業のさまざまな問題解決に向き合ってます。
「疲れます〜」と言ってました。が、大企業に勤務していたときとは違う「いい疲れ」だとも。
とても面白いテーマだと思ったので、深掘りして聴いていくと、あることが浮き彫りになってきました。
大企業勤務のときは、これまでの経験の中で蓄積してきた知識やスキルでほとんどの課題に対応できていた。
しかし、いまは、未知の課題がほとんどで、自ら学び、なんとか自分なりの解を見出す必要がある。そこが大きな違いで、大変だけど、やりがいもあると。
うーんと、正直唸りました。
大企業とは、大きな企てをする(できる)組織のはず。そのような場が、もし減ってきているならば、それは、価値創造から遠くなってきているとも言えますね。
そうそう、1970年代にドレイファス兄弟は、人間が技能を習得し、極めるプロセスについて研究し、
「ドレイファスモデル」という5段階にまとめました。
第1段階:初心者
第2段階:中級者
第3段階:上級者
第4段階:熟練者
第5段階:達人
この言葉だけを並べてみると、階段を順々に登っていくのだなぁという感じに見えると思いますが、実は3段階と4段階の間に、このモデルでは質的な飛躍が求められます。
つまり、1段階から3段階までは、さまざまな知識を習得し、いろいろ経験積めば、身の回りのことについて、基本的には一通り問題解決できるようになります。
が、4段階目に行くには、未知や困難な状況にも諦めず、目に見えにくい要素も含めた課題の深い捉え方をし、経験や知識を超える部分で自己補正もしながらの対応が求められます。
さきほどの大企業を辞めた友人は、この挑戦を求めていたと言えるでしょう。
今回のお話は、たまたま大企業に勤めていた人を例にしましたが、だから大企業がどうのこうの言いたいわけではなく
ドレイファスモデルで言う「第4段階:熟練者」に挑戦できる環境が大事だとお伝えしたかったのです。
個人にとっては、一通りの仕事ができるようになったと満足しないで、次のレベルを目指すところから、本物の仕事が始まるのでしょうし、
組織にとっては、そのような環境を意図的に用意することが、組織力を高めていくためにも不可欠なのだろうと思います。