昨年の12/26で、藤野に移住してちょうど10年になりました。暮らせば暮らすほど好きになるまち。
人口8500人。典型的な中山間地域。経済圏としてはあまりに脆弱。
でも、一人ひとりが幸せそうにつながり合って暮らしています。
このまちを知らない人から「藤野って何がそんな魅力的なの?」とよく聞かれます。
「中心人物のいないネットワーク」
「里山とアートのまち」
「よそものをあたたかく受け容れるまち」
などなど・・・
これまで何十回、いや何百回も色々な表現をしてきました。
が、なんか伝えたあとに、言い切れてない感じが残ってました。
でも、とうとう見つけました!!
“根と翼を持ったまち”
友人の経営思想家・小森谷浩志さんと一緒にやってる講座の中で、気鋭の社会学者・真木悠介さんの『気流の鳴る音』では
人間の根源的な欲求は二つだという紹介を彼がしました。
一つは根を持つこと。もうひとつは翼を持つこと。
根はつながりや共同性の象徴で、翼は自由の象徴ですね。
で、両者は相互に反駁し合う関係にあるのがやっかいなところ。
かつて村落による共同体が中心だったとき、強いつながりで結びついてはいる
けれど
その地には自分の意思以前的に宿命的に存在する前提なのでどうしてもしがらみや拘束から逃れられませんでした。
そこに出現した都市に人々は、自由を求めなだれ込み呪縛から解放されたわけですが
一方で、安心していられる場所を失って不安定化していきます。
前述の真木悠介(これはペンネームで本名は見田宗介)さんは、そんな矛盾や葛藤を抜けるコンセプトとして「交響体(交響するコミューン)」というものを掲げました。
一人ひとりがお互いの異質性を認め合い、受け容れ、つながる場であり、かつ、そこにいることを自在に選択し脱退し、移行し、創出する場でもある。
実は、僕自身は、このコンセプトを2010年に見田先生の講座で聞き、衝撃を受けました。
でも、それは想像の世界であり、この世には存在しないよなとも思ってました。
ところが、2013年夏にスコットランドのフィンドホーンというエコビレッジへワークショップ参加のため出かけたとき、ヒデ(榎本英剛)さんと出会い、夢のような話を聞きました。
それが藤野という「交響体」のようなまちの話であり、彼もそこに暮らしていたのです。
いても立ってもいられず、本当に何も考えることなく、衝動的にその年末に東京から移住しました。
そしたら、まさに話どおり、というかもっと奥深い世界で・・・10年経って、また原点を思い出しました。
「交響体」「根と翼を持ったまち」藤野に、一度いらしてくださいね!