前回は、僕がいまの仕事をする大きなきっかけをつくってくださった恩人柴田昌治さんが昨年末にご逝去されたことへの追悼メッセージを書かせていただきました。
今回はその後編として、僕が柴田さんとぶつかった体験も含めて、これから日本企業が目指すべき変革の在り方を書こうと思います。
それが日本における組織開発の黎明期を担われた柴田さんへの追悼になると信じて。
1998年に出版され、大ベストセラーになった『なぜ会社は変われないのか』の4年前に『コアネットワーク〜変革する哲学〜』という本を柴田さんは世に問いました。
ムーブメントになる前夜に何をおっしゃっていたか?
「企業を変革するためには風土・体質を変えるだけでは難しい。戦略を変える、システム・仕組みを変えることが同時に行われてはじめて変革は進行する」
本のあとがきにて力説されています。
しかし、ビジネス現場にて、鎧兜を脱ぎ「気軽にまじめな雑談」をする「オフサイトミーティング」を発明し、一世を風靡する中、スコラへ入社した僕は、
実際に身を置いてみると、組織の風土や体質を変える支援に偏りすぎていないかと疑問を抱くようになりました。
たしかに「事業」として見た場合は、その方が理解されやすいし、売りやすくはあるのですが・・・
で、あるときスコラの全社員ミーティングの中で、柴田さんに向かって率直に問題提起したのです。
「スコラは風土改革屋として本音のコミュニケーション向上に寄与していると思いますがその後、しっかりしたロジックによって戦略やしくみを構築するところを軽視していませんか?」
みたいなことを言ったと記憶しています。
そしたら、柴田さんは烈火の如く怒り、反論されました。
「いや、そんなことはない」とおっしゃりたかったのだと思いますが、そこから真剣勝負をしたかった僕にその場でのチャンスは得られませんでした。
ただ、柴田さんらしいなと思ったのは、その後、顧客先での講演の中で、そのエピソードを持ち出して、ああいう自分の態度はだめで、話を聴くべきだったと真摯に語っていたことです。
柴田さんとの思い出はたくさんありますが、やっぱりあの記憶が強烈に体感として残っています。
いずれにしてもあのときの僕の問題意識は、シゴトをするときの原点になって今まで続いています。
これまでの組織ではなくクリエイティブなものに再構築していくには、パーパス(想い)→戦略→アクション、しくみ→カルチャーを一連の新たなプロセスとして循環させることが大事。
スコラ・アルムナイのひとりとして「われこそは、柴田哲学の継承者である」という矜持をもち、そのような支援を、いのちあるかぎり続けていきたいと思っています。
実はこのことを約1年前の柴田さん80歳の誕生日へのメッセージとして贈らせていただいたのですが、
柴田さん、逝ってしまわれるのがあまりに性急ではありませんか。寂しいです。