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“わからなさ”をデザインする

おかげさまで、僕の提唱する「クリエイティブファシリテーション」の書籍化が決まりました。

そのプロセスで編集者の方々から聞かれたのは一般的なファシリテーションとの違いについてでした。

それは、「”わからなさ”をデザインする」というアプローチに尽きます。

「?」マークを、「!」マークに変えるという前に「?」自体を育てる視点です。この逆説的な視点こそが、新たな可能性を拓くと考えています。

今回は、ネガティブケイパビリティという考え方に、佐藤可士和さんのデザイン論を絡めて”わからなさ”デザインの本質を語ってみたいと思います。

「ネガティブケイパビリティ」

イギリスの詩人ジョン・キーツが提唱したこの概念は、不確実さや謎、疑問に対して、性急に理由や事実に飛びつくことなく、それらの中にとどまる能力のことをいいます。

何がどうなれば解決といえるのかもわからない『厄介な問題』を前にしたとき、とりあえずわかることだけを切り取って答えを導き出しても、表面的なものになりがちです。

でも、創造的な解決の種はむしろわからない部分に隠れていることも多いのです。

例が適切ではないかもしれませんが、旬なところで・・・

トランプ大統領がどんな世界をつくろうとしているのか僕にはまったく見当もつきません。

従来の政治的枠組みでは理解できない言動に、多くの人が「反知性主義だ」と即断しています。

でも、このわからなさの中に少し留まってみたら???

アメリカの反知性主義の歴史を紐解いたり、大衆迎合政治の系譜をたどったり、あるいは全く異なる視点から考

てみたり。

わからないという状態を受け容れて、そこから多様な探索を始めると、二項対立を超えた複雑な理解への道が拓けるかも。

ただし、わからないを受け容れることだけでは、具体的に行動してみることまでには至りませんね。

そこで、僕の愛読書のひとつ『佐藤可士和の超整理術』から                 のデザイン論を引用します。

「デザインを生み出すことは、対象をきちんと整理して、

本当に大切なもの、すなわち本質を導き出して

形にすることだ」

これを僕の解釈も少し付け加えさせていただくとこんな感じ。

①わけのわからない社会や時代を相手にまずその対象をよく観て

②そこに自分なりの視点を持ち込み問題の本質を突き止め

③解決すべき課題を明確にカタチにする。

こんなプロセスを意図的につくり出すコツを整理してみたのがクリエイティブファシリテーションの4×7=28のパターンなのです。

なにか解決できそうもないテーマを目の前にしたとき堂々と「わかりません!」と言ってみましょう。

「その『わからない』って、どんな感じ?」と聴き合いはじめる。「わからなさ」の質感や色、温度まで観察してみるのです。

「わからない」という言葉が普通に飛び交うようになったとき、実はそこがクリエイティビティの始まりなのかもしれません。

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