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“らしさ”は、“わからなさ”の中で育つ

僕がこのところ考えているのは、“わからなさ”と”らしさ”の交差点です。

新刊『クリエイティブファシリテーション』でも、中心のテーマは“わからなさ”をどうデザインするかにあります。

けれど、いきなり“わからなさ”に向き合えと言われても人はそう簡単には飛び込めません。

現実には、私たちの多くは、誰かの期待や評価という「他人のふんどし」をはかされて生きているようなものです。

が、本当にわからない状況に出会ったとき、それでは立っていられない。

だからこそ、自分(たち)“らしさ”という足場にもう一度戻る必要があるのです。

世の中には、U理論やアート・オブ・ホスティング、ネガティブ・ケイパビリティなど、“わからなさ”を扱った理論がいくつもあります。

でも、どれも少し抽象的で、現場の実践に落とすのが難しいなと。僕はそこに一石を投じたいと考えています。

実践の第一歩は、自分、あるいは自分たちの“らしさ”をあきらかにすること。


それが”わからなさ”に向き合う勇気の源になるのだと思います。

かつて、あるキャリアデザイン研修で、途中で手が止まってしまった女性社員がいました。食品メーカーの品質保証部門にいて、新製品の可否を判断する仕事。


彼女の大事にしたい軸は「他者への貢献」でした。でも「否」を出す立場では、“らしさ”を生かすのが難しいと悩んでいました。

僕は、たとえ「否」を出しても、どうすれば「可」にできるかを一緒に考えることが、彼女の“らしさ”につながるのではないかとお伝えしました。


その後どうなったかはわかりませんが、彼女はきっと迷いながらも、小さな試みを始めたのではないかと思います。「否」と言わざるをえない時こそ、開発担当と一緒に次の可能性を探す。

ときには衝突もしながら、それでも誠実に関わり続けること。やがて周囲にも「一緒に考えてくれる人」という認知が広がっていくはずです。

自分“らしさ”に立ち返って内省し、わからない現実にもう一度向き合う。

その往復のなかで、内発と共創が結びつき、新しい価値が立ち上がってくる。

僕が、組織開発のプログラムでもキャリア開発のプログラムでも起点を自分(たち)”らしさ”に置いている意図はそこにあります。

起点はやがて「基点」(よろどころ)になります!

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