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「厄介な問題」に向き合う専門家として

僕が組織開発コンサルタントとして、この20年で向き合ってきたテーマは、いつもはっきりしない問いでした。

どこが問題なのか、誰が困っているのか、その輪郭すらつかめない。そんなもやもやした相談ばかりが集まってきました。

いや、戦略的に選んだわけではありません。ただ、僕はこういう”わからなさ”に惹かれてしまうのです。結果として、それが僕自身の独自領域になっていきました。

そんな中で出会ったのが「厄介な問題」という概念でした。

数年前、経産省の調査研究報告書で、「単純な問題」「複雑な問題」と並んで紹介されていたのを目にしたのです。

読んだ瞬間、「ああ、僕が扱ってきたのはまさにこれだ」と強く腑に落ちました。

そこから原典をたどり、1973年にリッテルとウェバーが提唱した”Wicked Problem”という概念であったと知りました。

「単純な問題」は、課題の定義も解決もはっきりわかっているもの。

「複雑な問題」は、複雑で問題も解決策も明らかではないが時間ともに明らかになるもの。

けれど「厄介な問題」は、なにがどうなれば解決なのかもわからない、まさに手に負えない領域です。

そんな分野にクライアントともに取り組んできた実践を体系化した集大成として、11月28日に『クリエイティブファシリテーション』を出版します。

問題を単純化せず、複雑なまま捉え、“わからなさ”を抱えたまま本質を探り、新しい可能性を創発する。

そのプロセスこそが「厄介な問題」に向き合うチームの切り札になると信じます。出版に合わせて、とんがり研のホームページも全面リニューアルしました。

そして最後に。“Wicked” という言葉そのものにも、僕は大きな魅力を感じています。辞書的な「邪悪な」よりも、日本語の“やばい”に近いニュアンス。

若者のスラングでは「めちゃすごい」といったポジティブな意味も帯びるようです。

扱いにくいけれど、同時にクリエイティビティを強烈に刺激する。そんな“やばい”領域に、これからも深く関わっていきたいと思っています(笑)。

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