11月28日、僕の新刊『クリエイティブファシリテーション』が発売になりました。
長年温めてきた内容なので、もしよろしければ手にとっていただけると嬉しいです。
今回の本の特徴は、価値創造につながる“チーム対話のプロセス”を、4つのフェーズに構造化し、その実践の“コツ”を28のパターンとして整理したことです。
全250ページのうち、半分近くをこのパターン・ランゲージが占めています。
なぜ、ここまで徹底してパターン形式にこだわったのか。
それは、ファシリテーションにおいて本当に重要なのは、技法よりも「センス」だからです。
そしてこのセンスは、スキルのようには教えにくい。
むしろ“どう感じ、どう判断するか”という高度な直観の営みであり、長年の経験が深くに宿る「暗黙知」に属しています。
例えば、参加者が言葉にしない違和感をどう察知するか。
場が動く“前兆”をどうつかむか。
どの瞬間に問いを投げ直せば、場の流れが変わるか。
こうした判断は、スキルのチェックリストではとらえきれません。しかし、諦めなくても大丈夫。
僕は、これをパターン・ランゲージで言語化できると確信しました。
パターン・ランゲージは、
特定の状況(Context)、そこで起きがちな問題(Problem)、そして効果的な働きかけ(Solution)
という共通形式で書かれます。
抽象的な理念の押しつけでもなく、行動マニュアルのような細かい指示でもない“中空の言葉” です。
この“中空”こそがポイントで、読む人の中に眠っていた感覚や価値観を自然に呼び起こし、「あ、こういうことか」と腑に落ちる瞬間を生み出します。
僕が20年間、伝えたくても伝えられなかったエッセンスが、ようやく他者に届けられる形になった──そんな感触があります。
また、パターンは“共通言語”としても働きます。
たとえば会議の振り返りで、「今日の議論は“未知との遭遇”が弱かったね」と言えば、それだけで“新しい情報への接触不足”という状況が共有できます。
こうした言葉が組織に浸透すると、創造性が自然に立ち上がる土壌ができていきます。
本の出版はゴールではなく、むしろ完全にスタートラインだと感じています。この28のパターンが、創造性が立ち上がる「最初の火種」として使っていただけたら嬉しいです。
クリエイティブファシリテーションは、読み切りの知識ではなく、使うほどに深まる実践の道具です。
本書は、どこから読んでもすぐ場に持ち込めるように作りましたので、必要なときに1パターン拾うだけでも価値が出ます。
ぜひ、ご一読ください。そして、感じたことをお聞かせいただけたら、 とても嬉しいです。
