HOME > BLOG > 理論をちょっと > 混沌が語りはじめるとき(後編)

混沌が語りはじめるとき(後編)

前回は、僕が2011年に青木孝一先生のインテグラル・カードワーク(ICW)と出会った話を書きました。

当時僕が在籍していた組織風土改革コンサルのスコラ・コンサルトは、この方法論の価値を高く評価し
青木先生と共同で「インテグラル・カードワーク」の商標登録まで行いました。

ただ、その後この方法は組織の中で広く使われるところまではいきませんでした。

そして2023年2月。一つの区切りとなる出来事がありました。

スコラがこの商標を手放すことになったのです。

当時の経営メンバーが協議した結果、商標戦略の考え方が変わり、出願を絞り込む方向となったためです。

その直後、青木先生から一本のメールが届きました。

そしてそのメールには、僕の想像を超えることが書かれていました。

「この機会に、AKIのとんがりチーム研究所の独自の方法論として採用してくれたらいいな、ということです。」

さらに、こう続いていました。

「この方法論は、川喜田二郎先生と辻善之介先生(川喜田門下・四天王のひとり。青木先生は辻先生に師事しており、川喜田先生の孫弟子だと言っていました)という二人の先達のKJ法を換骨奪胎し、複雑系や脳理論の新しい視点を導入して開発したものです。

AKIが3代目として、この方法論を引き継ぎ、独自に発展させていってくれたらな、というお願いです。」

正直、驚きました。

ICWは川喜田先生のKJ法の思想を背景に、青木先生が長い時間をかけて築いたものです。そのバトンを、僕に託すと言われたのです。

ただその時の僕は、この出来事の意味をまだ十分に理解していたわけではありません。

ありがたい言葉だな、と思いながら、大切に受け取らせていただきました。

その3か月後の5月18日。青木先生は、がんのため亡くなられました。

先生はそのときすでに、ご自身の時間が長くないことを知っておられたのでしょう。

いま振り返ると、あのメールの意味の重さをあらためて感じます。もちろん「継承」というのは、何かをそのまま守ることではないと思っています。

実践の中で磨き続け、新しい意味を生み出していくこと。ICWも、きっとそういう知なのだと思います。

混沌の中から意味を見つける。まだ言葉になっていない仮説を立ち上げる。

川喜田先生は、KJ法をアブダクションの思考だと語っています。「モヤモヤとした情報群の中から、より明確な概念をつかみ出してくる意味合い」

このアブダクションの力は、これからますます必要になるはずです。

そして僕自身の仕事も、きっとその流れの中で続いています。

シェアお願いします!
TOP