先日、日本・精神技術研究所の内田桃人社長を訪ねました。内田クレペリン検査で知られた会社ですね。
ピンとこない方は、簡単な一桁の足し算を一定時間ひたすらやっていく検査を入社試験などで受けたことありませんか?あれです。
受検者の作業量やその変動パターンから性格や適性を分析するもの。
身体性に依る稀有の心理検査なので意図的に回答を操作できなかったり、質問紙法では捉えにくい無意識の側面を測れるのが独自性ですね。
ドイツの精神科医エミール・クレペリンの発見した作業曲線という概念をもとに、日本の心理学者・内田勇三郎さんが、この概念をもとに1920-30年代に開発したものだそうです。
桃人社長は、勇三郎さんのお孫さんにあたる方です。ヒトへの優しい眼差しと、経営者としての厳しい視点を併せ持つようなナイスガイでした。
内田クレペリン検査では、作業量や正確性という能力面とともに「発動性」「可変性」「亢進性」という性格・行動面を分析します。
僕が注目しているのは後者です。
「発動性」とは、物事への取りかかりや滑り出し度合いを測る指標。
気軽に新しいことにチャレンジするのか、手堅く物事にあたるのか 等
「可変性」とは、物事を進めるにあたって起こる気分や行動の変化の大小を測る指標。
柔軟性や粘り強さ、あるいは感情の安定性 等
「亢進(こうしん)性」とは、物事を進める際の勢いの強弱を測る指標。
強気で行動的なのか、温和で控えめなのか 等
これらは、気持ちや動作の働きぶりのあくまで特徴なので、どちらの傾向がよいとかわるいかというものではありませんね。
何らかの作業や活動をするときの「その人らしさ」です。
話変わって、いま僕は、iU組織研究機構という産学連携の団体を立上げ、人的資本経営等の最新の組織技術をスタートアップや上場企業にご提供する準備をしています。
中央大学ビジネススクールの島貫智行教授によれば・・・
「人的資源」の所有者は企業であるのに対し、「人的資本」の所有権は一人ひとりの個人にあり、そこが大きな違いだと。
とうとう、個の持ち味を起点にしたマネジメントを本気で考えられる時代の到来というわけです!!
人的資本は、その人らしさがベースを構成していると僕は考えます。
内田クレペリン検査は、これまでは採用選考のために使われてきた側面が強かったと思いますが
これからは、その人らしさを職場の中で互いに知り合って、チームづくりなどに生かすことが有効では。
既に開発されてから百年近くも経つ歴史と伝統の心理検査ですが、個人的に、もう少し研究してクライアント先の組織・人財開発に使ってみたい気がしています。