1on1(ワンオンワン)ミーティングの企業における普及率は7割ほどとか。
上司と部下が1対1で、部下の成長や業務の進捗状況を確認し、フィードバックを提供するための場ですね。
先日、ある大手企業の管理職の方々にキャリアデザイン×フィードバックの研修を設計し、実施しました。
2回に分けて計70名が参加しましたが、最初にお聞きしたのが、1on1にてどんなテーマについて話しているかでした。
一番多かったは日々の業務の進捗確認や目標設定、評価。
また、世間話というのも結構多く、プライベート含めた個別相談も少しありました。
では、キャリアについて話している人はというと、70名中で1名だけでした。
でも、1on1などの場で、上司と部下がキャリアについて話し合う効果は実はかなり大きいのです。
その理由はこんなところです。
1. 長期的な視点の提供
キャリアの話は、部下の長期的な目標やビジョンを明確にする機会を提供します。
これにより、日々のタスクがどのようにキャリアの成長に繋がるかを理解しやすくなり、モチベーションの向上につなげられます。
2. 本質的な成長支援
キャリアの話を通じて、部下の強みや弱みを把握し、個別の成長プランを策定することができます。
これにより、部下は自分の成長に対する具体的なフィードバックを受け取りやすくなります。
3. エンゲージメントの向上
キャリアの話は、部下が自分の将来について考える機会を提供し、仕事や会社へのエンゲージメントを高めやすくなります。
部下が自分のキャリアを明確に意識することで、会社への帰属意識が強まり、離職率の低下にもつなげられます。
ただし、いまの管理職世代の多くが、部下とキャリアの話をしにくい背景があります。
立教大学・中原淳先生の『フィードバック入門』によれば・・・
これまでのキャリア観は、キャリアなど意識することなく、ひたすら組織の中で働く中で、キャリアや能力も自然と培われるという考え方でした。
ところが、若い世代のキャリア観は、自分のキャリアは自分で切り拓くという考えが強く、キャリアプランを自分で設計し、それに沿って会社を選んでいる人が多い。
このギャップを埋めるためには、まず上司が自らのキャリアについて考えることが大事ですね。
しかも、キャリアには、積み重ねてきた仕事内容や経歴だけでなく、仕事で大事にしていること、働く動機や想いも含まれます。
前者を「外的キャリア」、後者を「内的キャリア」と言います。両者が作用し合って、動的にキャリアは形成されるわけです。
僕のご提供するキャリアデザイン研修では、この内的キャリアを軸に掘り起こしながら、外的キャリアと接続していくワーク内容にしています。
「こんなこと、考えたこともなかった」「自分の仕事にも意味はあったんだ」というような感想が出てきますが、多くはまんざらでもない様子です。
そして、もう一方で、部下にフィードバックするときのマインドセットや効果的な方法などを学んでいただきロールプレイも十分に実践した上で彼らを職場に送り出すのです。
まぁ、最初からスムーズにうまくいくことはないでしょうが、いろいろ壁にぶつかりながらも、
キャリアについて上司と部下で話し合う習慣を各社に広め、それが組織文化になるまで支援したいと思ってます。