最近、盛んに提唱しておりますクリエイティブファシリテーションについてですが・・・
セミナーが盛況だったことやその背景などはお伝えしましたが、本論をちゃんとお伝えすることをしていませんでしたので、今回はズバリ、本質をお話させていただきます。
僕と友人のファシリテーターFさんの会話という想定でトライしてみます!
僕: 「最近、どうなの?」
F: 「いやーちょっと自信を失ってきちゃってるんだよね」
僕: 「得意のファシリテーションがうまくいかない?」
F: 「それ、いいね!ってアウトプットが出てこないっていうか。雰囲気は悪くないんだけどね」
僕: 「ありきたりの結論になってしまいがちってこと?」
F: 「そうそう、みんな当たり障りのない意見しか言わなくて。議論はスムーズに進むんだけど、なんか物足りないんだよね」
僕: 「それって、もしかしてファシリテーターの呪縛かもね」
F: 「呪縛?」
僕: 「うん。わかりやすく進行する/関係性をスムーズに保つ/時間内に結論を出す
これって、ファシリテーターの役割と思ってない?」
F: 「たしかに。それが仕事だと思ってた」
僕: 「結果として、出てくる意見が浅い、狭い、ばらばらになってしまう。本当の価値創造につながらないんだよね」
F: 「確かに!みんなが無難に合意できる結論ばかりで、新しい発見や革新的なアイデアが生まれない」
僕: 「僕は最近、クリエイティブファシリテーションっていう考え方を提唱しているんだ。
これは、問題を複雑なまま捉えて”わからなさ”を大切にしながら、問題の本質を解きほぐし、新たな可能性を創発するプロセスなの」
F: 「”わからなさ”を大切に?それって逆じゃない?ファシリテーターは混乱を整理する役割だと思ってた」
僕: 「そこなんだよね。いまの時代、そもそも何が問題なのか、どうなれば解決と言えるのかもわからない『厄介な問題』が増えてる。
こういう複雑な問題に対して、早く結論を出そうとして表面的な解決に走ってしまうと、本質的な価値は生まれないんだ」
F: 「なるほど。じゃあ、どうすればいいの?」
僕: 「クリエイティブファシリテーションは4つのフェーズで進めるんだ。
まず『いまここへの没入』。参加者が日常の役割から離れて、本当の価値観や思いと向き合うところから始める」
F: 「なんか難しそう。」
僕: 「そんなことないよ。例えば、あるメーカーの生産技術部門でファシリテーションをしたとき、
シナリオプランニングという手法で未来を広く考えたら『生産技術のマッチングアプリ』という意外なアイデアが出てきたんだ」
F: 「へぇ、面白いね!でも、そういう意外なアイデアって、普通なら却下されそう」
僕: 「そう。だから次の『他者との出会い』のフェーズが大事なんだ。
それぞれの視点の違いに気づき、思考の化学反応を起こす。
そのメーカーの例でいうと、アイデアの背景を探究して、『ハード面(自社固有技術)とソフト面(すり合わせ力)の両輪が重要』という意見から、
『すり合わせ力』という共通認識を発見できたんだよ」
F: 「なるほど。でも意見が対立したらどうするの?」
僕: 「それこそが三つ目の『衝突と葛藤』のフェーズ。
この段階では、ファシリテーターがあえて場を揺さぶるんだ。
そのメーカーでは、自社固有技術へのこだわりをめぐって意見の対立が起きたけど、その衝突を避けずに促進した結果、
『固有技術への執着を捨てることで価値創造が進む』という戦略的視点が生まれたんだ」
F: 「えっ、対立を促進するの?それってリスクじゃない?」
僕: 「確かにリスクはあるよ。でも、その混沌を抜けた先に『第三の道』という最後のフェーズがある。そこで創造的な秩序が生まれるんだ。
このメーカーでは最終的に『自社固有技術や生産方式を持たない』という従来では考えられなかった新しい戦略が生まれたんだよ」
F: 「すごい。でも、それって特別なスキルが必要じゃない?」
僕: 「スキルというより、センスが必要かな。でも、それは訓練で身につけられるものだと思ってる。
僕は研修会社と協働で『パターンランゲージ』というメソッドを使って開発したんだ。
これは、熟練者のコツや勘所を言語化して共有できるようにしたもので、単なるハウツーじゃなく、その背後にある考え方や価値観も含めた知恵を体系化してるんだよ」
F: 「なに、それ?」
僕:「4つのフェーズごとに、7個ずつの秘訣を設定し、全部で28のコツとしてカード化してあるんだ。
これを行動のヒントにしながら何度も実践することで自分のものにしていくことができるんだよ」
F: 「なんだかちょっと希望が湧いてきた。今までのやり方に限界を感じてたから、この『わからなさ』と向き合うアプローチ、ちょっと試してみたい!」
僕: 「うん、ぜひ試してみて。本質的な議論こそが、新たな価値創造を促すと思うんだ」
クリエイティブファシリテーションのちから、伝わりましたでしょうか?