ひとり起業家になって8年。クライアントとのやりとりを続けていると「この会社とはなぜ仕事にならないのか?」そんな疑問を抱くことがあります。
別に相手が悪い組織というわけでもないし、僕が手を抜いているわけでもない。でも、なんとなくしっくりこない。
そんなモヤモヤの正体が最近わかってきました。
一言にするなら“本気でケンカできる”イメージが持てないこと。結局のところ本質的な価値を共創するのが難しいということなんです。
ここで言う「ケンカ」とは、お互いの考えを本気でぶつけ合い、より良いものを一緒に作り上げていこうとする真剣勝負のことです。
過去に結局仕事にならなかったパターンを振り返ってみると、以下の3つの特徴があることが見えてきました。
以下は、クライアントの悩みやニーズをお聞きし、こちらの方法論の特徴をお伝えした後の前提ですが・・・
◆まず、「質差」に目がいかないパターン
「何が他と違うんですか」と聞かれることがあります。「えっ⁉︎」とんがり研は、”Ruderal”(荒地に生きる)戦略として、大手ではやらないとんがった価値提供に絞り込んでいます。
なので、例えば、キャリア開発であれば、安易なリスキリング偏重には懐疑的で、「内的キャリア」にとことんフォーカスします。
組織開発なら、関係性改善で満足されるような支援なら他にお任せします。
戦略開発であれば、独自性、優位性の見えない戦略は戦略ではないと言い切ります。
そんな質的な違いを感じ取っていただけない場合は、プロジェクトが始まっても表面的なやりとりが続くだけです。
◆次に、自分たちの判断基準が見えないパターン
「総合的に比較したいので、他社とコンペになります」というのは購買的には当然なのですが、注意が必要なのが、自分たちの価値判断よりも世間の基準を優先しがちな場合です。
知名度やブランド、前例や実績といった要素で比較されると、間違いなくとんがり研は選ばれません(笑)。
っていうか、世間の常識や既存の枠組みを疑うことから始めるのがウリですから。最初から「みんなと同じように」という姿勢では、真剣勝負の共創は生まれないのです。
◆そして、対等な関係を築けないパターン
とんがり研は、人もうらやむ大企業だからと言って、まったく特別視はしません。
自分も大企業出身なので、大きな組織ほどそれを隠れ蓑にして私らしさの発露をしない人が多いことも知ってますし(笑)。
本当に価値のあるものを生み出すには、お互いが対等な立場で本音をぶつけ合う必要があります。
買い手優位な意識が見えたら、確信犯的に失礼な態度を取ることもあります。遠慮や忖度が入った瞬間に、議論は骨抜きになってしまいますから。
ひとり起業家として、還暦を迎えた者として、限られた時間とエネルギーをどこに注ぐかは死活問題です。
稼ぐための仕事ではなく「志事」だけしていられる環境にあるのは本当にありがたいことです。
だからこそ、本気でケンカできる組織、つまり真剣勝負を通じて一緒に成長していける組織とだけ、これからもお仕事をさせていただきたいと思っています。