マーク・L・サビカスというアメリカのキャリア心理学者がいます。
彼の「キャリア構築理論」は、それまでのキャリア理論体系を統合・発展・展開した“21世紀型のキャリア理論”と位置付けられています。
その一番の特徴は、人と環境(職業)を固定的にマッチングさせるものでなく、キャリアにおける意味や解釈、物語といった考え方を重視することにあり、VUCA時代に適合する動的なアローチと言えます。
つまり、スキルや能力と仕事のマッチングやそのためのアクションプランを設定する前に、
自らのキャリアを一連のストーリーとして解釈し、自分の中に内的に意味や価値を認め、そこから現在の仕事を充実させたり、未来への展望を考えていくことが必要だということですね。
僕はこの考え方にとても共感しています。
一方で、世の中で流通しているキャリア研修はどうもこのような考えとは異なる世界で運用されているようです。
これらには共通する必勝パターンのようなものがありそうです。
すなわち、まず自身の経験やスキルを棚卸しし、将来の理想的な仕事像を明確に描き、現状とのギャップを埋めるためのアクションを計画・実践する。
たしかに、合理的だとは思います。
しかし、そこにいわゆる「内的キャリア」の要素である価値観、想い、動機、感動、意志といったものがあまり見えません。
『働き方の哲学』の著者・村山昇さんは、「外的キャリア」と「内的キャリア」が相互に影響し合って揺らぎの中で動的にキャリアは形成されていくとしています。
これまでの仕事がなくなったり、新しい仕事が生まれるという変化は今後はますます激しくなっていくと言われていますので
人と仕事の固定的なマッチングはそもそも成り立ちにくくなります。
手前味噌ではありますが、僕らが4年前に開発したマインドフルカフェ®︎というキャリアプログラムは
私らしさ(内的キャリアの部分)と仕事(外的キャリアの部分)の間に橋をかけることを主旨にしたもので最近問い合わせが増えています。
実は、プログラムを開発した後に仲間の心理学者で大学教授の武田葉留美さんから「これはサビカスの理論にすごく近い」と言われました。
それでサビカスの理論を学び始めたのですが、学べば学ぶほど、根っこが同じなのを感じています。