「在り方」クエストによって、あなたの在り方と仕事(事業)のあいだに橋がかかったら、
次に「誰に、何を届けるのか」を戦略として定め、「商品やサービス」のカタチに仕立て届ける必要があります。
お客様にこの商品・サービスが届くことによって、彼らの身の回りでどんな価値が生み出されるのかを描きます。
しかも、あなたがその価値を誰よりも高く創り出せるという根拠が必要になってきます。
ここから、お客様が主役として展開する「物語り」クエストの始まりです。
既に商品・サービスが存在する場合は、その戦略的な意味合いを改めて問い直したり、
その戦略をより効果的に実践していくための新しい商品・サービスを考えていきます。
さて、物語りには、その軸となる論理的な展開が欠かせません。
ここからご紹介する「起・承・転・結」による戦略フレームワークは、一橋大学の楠木建先生による出色の理論をもとにしています。
「起」=コンセプト
誰に、何を届けるのか、それがお客様にどんな本質的な価値をもたらすのかを定めます。人間の本性に訴えかけるユニークなコンセプト部分です。
「承」=具体的な構成要素
「起」で提起したテーマを受け、それを実現するのに必要な要素を展開し、物語りの核心である「転」につなぐ役割を担います。他との違いをもたらす具体的な要素です。
「転」=クリティカル・コア
他にはまねのできない独自の価値を生み出すため、一見非合理に見えても戦略全体の文脈で合理的と言えるキラーパスのような要素を据えます。
「結」=持続可能な利益創出
最後は、長期的利益につながる競争優位がどう創られるかを描きます。お客様が払いたいと思う水準を引き上げる?コストを下げる?無競争状態に持ち込む?
さて、以上のような論理展開は、物語りにおけるあなたの側からのきっかけづくりです。
ほんとうの物語りは、その商品・サービスが相手に届いてからいよいよスタートするののです。
経営学者の野中郁次郎先生は、「ストーリー(物語)」と「ナラティブ(物語り)」
の意味合いを次のように使い分けています。
ストーリー(物語)は、はじまりと終わりのある完成物でモノ的。
ナラティブ(物語り)は、どのようにストーリーを伝えるかのプロセスでコト的。
商品・サービスを受け取ったお客様の主観的な感情の豊かさをイキイキと感じながら、
これから起きるワクワクに想いを馳せていきます。