昨年から友人の経営思想家・小森谷浩志さんの著書『禅的マネジメント』をベースにして、禅的マネジメントschoolという講座を、本人と藤倉礼亜さんと一緒に企画・運営しています。
その第二期に米澤晋也さんという方が参加くださっています。
その初回が終わった後に、実は彼はあの「指示ゼロ経営」を提唱・実践している人だと知りました。
社員が上の指示なく、自ら考え動き出す組織になる究極のカタチで、僕もその印象的なネーミングが前から気になってはいました。
が、その類のものは、めっちゃ難解なロジックだったり、これは現実的ではないなと感じるような空理空論だったり、あまりいいものに出会ったことがないので意図的に避けていたのです。
現に、自律分散経営の騎手とされる方が、カリスマ性を発揮して自組織を作り変えたが、その人が離れた途端に、元のような組織に一気に戻ったというような話も聞いていましたし。
でも、米澤さんは、件の講座の初回に、自分が指示ゼロ経営をやってるとは一言も触れず終わった後に、他の人から聞いて初めて知るほど、謙虚に内省するような在り方の人でした。
これは本物だと思い、早速彼の著書『指示ゼロ経営』を拝読しました。
まさに彼の在り方と同じように、奇をてらうことのない自然なアプローチに驚きました。原則はきわめてシンプルかつ本質的で、自律性を引き出すのだから、「作る」ではなく「なる」んだと。
環境を整え、あとは「待つ」だけ!!で、その環境を整えるのに、7つの大切な要件を挙げています。
- 望みの統合
→個々の働く動機を聞いて、それを組織として「我々化」する。
- ひとりも見捨てない
→一人ひとりの望みを叶える一番の方法こそチームワークである。
- 心理的安全性
→他者に遠慮せずに自由にものが言える場の確保。
- ビジョンデザイン
→みんなで目指すゴールに物語性を入れ、自社と顧客の望みが統合される姿を動画のように描く。
- 自己決定
→自ら考え、判断・決定し、行動し、チェック・改善する「ひとしごと」を回す。
- 変化と成果の見える化
→やってみた結果(変化)を素早く把握し、次の意思決定に活かす。
- 学び合い
→仲間どおしでお互いにどんな実践をしたのかを知るしくみにする。
シンプルでわかりやすい要件ですね。でも、これでほんとに機能するの?
指示ゼロ経営を導入すると、当初はかならず混乱が起きるそうです。
でも上記の要件を整えていくことで、自律的に解決に向かっていく。指示ゼロ経営とは「秩序ある混沌」だと米澤さんは言います。
きわめて共感します。