先日、相模原市 環境経済局 環境共生部 環境政策課からの依頼で、相模原市が策定する地球温暖化対策シナリオづくりのためのヒアリングを、NPO法人 ふじの里山くらぶにて受けました。
里山くらぶでは、2016年から2年間かけ、法政大学・サステイナビリティ研究所の白井信雄先生(現在は岡山の山陽学園大学・地域マネジメント学部教授)のご支援のもと実施してきた「気候変動の藤野学」の取組みが評価されてのご指名でした。
当日は、馬場健司先生(東京都市大学環境学部教授)とその研究室の大学院生たちが、ヒアリングの進行を担いました。
<ヒアリングは藤野商工会館にて>
<馬場健司先生>
骨子は以下のとおりでした。
1.市が想定する2050年の「なりゆき未来社会」のイメージ
2.同じく「脱炭素未来社会」のイメージ
3.市の持つ強みと弱み、目指すべき将来像
当方からは4名(里山くらぶから3名+地元の農業従事者・天野さん1名)が出席しました。
<左:前理事長の永井さん 右:現理事長の星さん>
<藤野で農業を営む天野さん>
興味深かったのは、市が想定する気候変動リスクの重点事項と、「気候変動の藤野学」ワークショップで住民が自ら選んだ重点テーマにとても共通点があったことです。
「藤野学」で設定した重点3テーマ:水土砂災害対策/熱中症などによる健康管理/鳥獣被害対策のうち、前の2つが合致していました。
もう一点おもしろかったのは、市が「脱炭素未来社会」型のすまいとして掲げた「窓はすべて多重サッシ」「小型の電気自動車を蓄電池として活用」「家電はすべて高効率のもの使用」「屋根にソーラーパネルや太陽熱温水器」といったものが、
あまりに画一的かつ工業的ではないかと厳しく指摘する里山くらぶの理事の発言があったことです。もっと自然の風の流れを考慮するといったような昔からの知恵を生かしてもよいのではないかと!
聞けば、このアイデアは市民によるワークショップで作られたものですが、参加者は全員が都市部に住む人だったそうです。
念願の政令指定都市になった相模原市は、橋本などを中心にした都市部と、旧津久井郡にあたる山間部の両方を持つめずらしい都市です。
両者の特性やニーズのどちらかに寄ってしまうと(通常は人口の多い都市部に寄りがち)それが弱みになるし、うまく両立できればならではの独自性を発揮できそうです。
里山くらぶとしては、山間部の問題意識やニーズを市の政策に反映できる働きかけと、また、都市部との妥協点を見つけるよりも、両方の特性をうまく掛け合わせる方法の提案などを行っていきたいと思います。