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会社員が心の声を自分らしい物語に織り込むには

新聞で、ラジオドラマ作家の北阪昌人さんの記事を読みました。

大学を出て、普通のサラリーマンになったけれど「サラリーマンは個を消すことに終始していた。北阪昌人が代替不可、唯一無二であることを証明したかった」

ので27歳のときに、突然物書きになろうと決心したそうです。

そして「心の声を<物語>に」していく作家を続けていると。

今回のテーマは、もちろん、北阪さんのことではなく彼が、自分を消すことに終始していたという会社員という存在です。

会社員は、自分らしさを消すことでしか成り立たない仕事でしょうか?

たしかに、これまでは自分らしさを仕事にあまり出しすぎるなという組織側からの要請があったことは事実でしょう。

僕の最初の著作『使いづらい部下を使いこなす法』では個性あふれるタレント達のらしさを消そうとする上司や組織の姿を実例をもとに描きました。

しかし、やっと、自分らしさの発揮が求められる時代が到来しました。

ビジネスの世界で、日々「人的資本経営」が語られるのはその文脈ですし、「キャリア自律」が盛んに謳われるのも同様です。

アカデミックな切り口で言えば、中央大学大学院の島貫智行教授は

「人的資本経営が重視するのは、人的資本を蓄積し発揮する従業員自身の意思や主体性である」

だから、従来型の「従業員の管理手法から、従業員の自律性を多様な人的資本を通じて企業価値を創造する」経営が問われていると。

今週も、ある企業で、自分らしさで目の前の仕事を書き換えてしまう主題を持つマインドフルカフェ®︎というキャリアプログラムを実施しましたが

品質管理を仕事にする中堅の社員が「私らしさを仕事に反映させるイメージがまったく持てません」ということなので休憩時間に個人面談をすることにしました。

彼女は、相互の信頼関係を大事にすることが自分らしさだと感じてますが、商品開発者の依頼を分析してその結果を返すことだけが仕事なので信頼関係が生まれる余地はないとのことでした。

が、話をしているうちに、分析結果は厳然と存在しても、一方で、開発者の想いを受け止めて分析結果を共有するプロセスがあるのとないのとでは

信頼関係の成立に大きな違いがあるということに気づいたようでした。

ラジオドラマ作家の北阪さんのように会社員から転身しなくとも、自分の心の声(らしさ)を大事に仕事という物語に織り込んでいくことは、

十分に可能だと僕は心の底から信じていますし、また、それに気づき、実践できるような支援をしています。

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