大手企業・事業部のある部のエンゲージメントサーベイの結果が、平均値よりも一段低く、そこに新たに赴任された部長さんを支援しています。
特に、業務量が多い、達成感が得られない、評価が不公正、将来が見えないといったところが、サーベイから見える課題です。
その部長は、とてもオープンかつフラットなマネジメントのできる方で、最初に掲げようとされたのが、何でも言い合える環境づくりでした。
それと自分のやりたいことを少しずつでもやれるようにすること。
僕は、再考してみませんかと投げかけをしました。なぜか?
この部は、事業部の業務を下支えするような大事な役割を担っているのですが、仕事量は変わらないのに、人員は徐々に少なくなり、高年齢化も進んでいます。
必死に仕事しても、全然終わらないし、やっても評価されない。
そんな中、上記のような投げかけをしても、メンバーが話してみようという気にはとてもなりにくいのが、経験的にもわかっていたので。
心理的安全性の提唱者であるエイミー・エドモンドソン教授は、著書『恐れのない組織』の中で、
心理的安全性の土台をつくるのに「最重要なスキルは、(リーダーが)仕事をリフレーミングすることだ」と言い切っています。
「フレームとは思い込み、つまり現実について積み重ねていく信念のことだ」
この部の場合、どんなに人が減っても、要請された業務は同じ納期とクオリティでやらねばならないがフレームでした。
しかし、事業部のサービスを俯瞰的に眺めてみると実は、すべての業務についてそういうわけではないと部長は見ていたのです。
そこで、これまでの無意識のフレームを変えて、より正確に現実を表す新たな共有フレームをつくる(リフレーム)ことに。
その第一弾として、部長およびグループリーダーから率先して業務目標を重要度によって戦略的にぎゅっと絞り込むことを始めました。
次に、リーダーと話し合いながらメンバーもそのプロセスに入ります。そのやりとりの中で、何が重要なのかの判断軸も浮き彫りになるはずです。
それを、役職関係なく何でも言い合える環境の中でやっていくわけですね。
心理的安全性については、いろんな著作が出ていますが、僕はエドモンドソン教授の論が最も本質的かつ実践的だと思います。
『恐れのない組織』、オススメです!!