先日、サイボウズさんの本社に、大手企業の人材開発部長たちが集まり、サイボウズさんの組織人事的取り組み事例をお聞きして、対話する場のファシリテートをさせていただきました。
日経新聞が主催するプラチナ企業(働きやすさと働きがいを両立)でも、今年度第1位に輝いたとおり、素晴らしい事例発表でした。
彼らの躍進を支えている原動力のひとつが、企業カルチャーの重視と実践にあるようです。そのカルチャーも一度定めて終わりではなく状況に合わせて、常に見直しをかけています。
見るべきポイントが多数あるのですが、僕が特に注目したのは、従来「自立と議論」としていたのを「自主自律」と「対話と議論」に変更したところです。
議論は、より適切な解を求めてロジカルに話し合うこと。一方、話し合うプロセスで生まれる相互理解や関係性の変化も大事にしたい。
ということで「共創的な対話」か「建設的な議論」のどちらかで投票が行われたのですが、両者が拮抗したそうです。
しかも、どっちかではなく「対話と議論」とした人が少なからずいました。どっちも大事だという想いが根底にあったのでしょう。
この話を上記の記事で読んで、野中郁次郎先生の提唱する「二項動態」を思い出しました。
物事や問題を「あれかこれか」と対象化して捉える「二項対立」ではなく「あれもこれも」が「二項動態」。
一見相反する事柄を状況や目的に応じて、異質な両極端の特質を生かし、跳ぶ発想で新たな地平を見いだすこと。
サイボウズの組織としての強さは、こんな高度な概念もさらっと実践してしまうところかと。