今年はじめから“ファシリテーション2.0”を創るプロジェクトにアドバイザーとしてかかわってます。
単なる発散と収束によるありきたりのアウトプットではなく、ひと味違ったアイデアやコンセプトを創発することが目的です。
そして、クリエイティブなファシリテーションを実践する秘訣を「パターンランゲージ」の形式で構築しているとお伝えしました。
改めて、パターンランゲージとは=よい設計や実践の本質を記述した言葉で構成される言語およびその方法(井庭崇) です。
もっと簡単に言えば、あるテーマについてのよい実践のコツを言語化したものです。
この方法論は、建築家のC・アレグザンダーにより1970年代に創始されました。
この方法論は、もともとはよい建築の不変の本質を言語化したものからスタートしました。
たとえば、よい建築のパターンとして、よい入口には、道路と玄関の間に実質的な場所がある(小枝やバラの蔦の下を通り抜けるなど)と。
玄関が道路に面していたらあまりいい感じはしないけれど、上記のような中間的な場所があるとたしかに落ち着きますね。
よい場所とわるい場所を区別する不変なある特性=経験則を発見して、言語化したのがパターンランゲージの始まりでした。
それがソフトウェアの世界へ、さらには実践の世界へ展開されていったのです。
いま彼の主著のひとつ『時を超えた建設の道』を、慶應SFCの井庭崇先生とともに解読していく月1回の読書会に参加しています。
パターンランゲージの方法論の根底にあるアレグザンダーの哲学が書かれた大著です。
冒頭のメッセージをご紹介しますね。
「建物や町は、時を超えた道に従えば、それだけ生き生きとしてくる。それは、ほかならぬ私たちの内面から秩序が生まれていくようなプロセスである。
それは極める道ではなく、なすがままにしておけば、おのずから生まれてくる道」
まぁ、ここだけご覧になっても、自己組織的な世界観、つまり、個々の要素が自律的に動いて秩序を形成する現象に近いことがわかります。
彼が、建築の世界で、数理的なアプローチを極める経験をした末の発想であることも重要かなと思います。
僕自身は、数理的なアプローチが得意なわけではないですが、
この20年間ほどでクライアント企業とともに体験してきた自己組織的な動きの素晴らしさを知る者として、アレグザンダーの哲学に惹かれるのは自然なことだなと思います。
この読書会、始まったばかりですが、また進んでいく中での気づきなどあれば共有させていただきますね。