今回は日本企業の変革についてちょっと変わった視点での戦略論をお伝えしようと思います。
「戦略」というと、なんだか堅苦しく感じますよね。
でも本質は単純です。
限られた資源を賢く使い、目標に向かって一貫した行動をとること。
「何をするか」だけでなく「何をしないか」を決める勇気も必要です。
実は僕が、2000年に日本企業から米国の製薬大手に移籍した時、文化の違いに目を丸くしたことがあります。
彼らの戦略は明快でした。
「優れた薬と育成システムがあるから、明らかにNGでなければどんどん採用せよ」
半年で600人ものMR職を中途採用するという驚きの指示。日本の少数精鋭とはまったく逆の発想でした。
この会社、後に同規模のリストラで社会問題になったので、結果的には正しくなかったのでしょうが、
少なくとも「これが我々の戦略だ」という芯の通った決断がありました。
一方、多くの日本企業ではどうでしょう?
最近のホンダ・日産の統合撤回劇を見ても、トップダウンでの明確な戦略策定と実行が苦手なように見えます。
むしろ、思い切った決断ができる人は、日本の組織ではなかなか出世しづらい気もしています。
でも、日本企業にもとっておきの秘策があるんです。
それが「出島戦略」。
僕がこれまでの組織開発支援で多用してきたものです。
江戸時代、鎖国下の日本が唯一外国との窓口としていた長崎の出島にちなんだ名前ですが、これが組織変革の鍵を握っています。
本体組織から少し離れた場所で、ミドルリーダーたちが自由に新しいことに挑戦できる「実験場」を作るのです。
出島にはおもしろい5つの特徴があります。
1. ほどよい距離感:
完全に切り離されず、でも古い慣習から自由
2. 思い切り試せる裁量:
細かい指示なしに自分たちで決められる
3. 現場から生まれる戦略:
トップダウンではなく、試行錯誤から新しい方向性が見えてくる
4. 小さく失敗できる環境:
大きなリスクなしで、学びながら前進できる
5. 本体を変える触媒に:
成功体験が組織全体を少しずつ変えていく
この「出島」から始まる小さな変化が、やがて大きなうねりになっていくのです。
トップが明確な指示を出せなくても、現場の知恵と情熱で新しい価値が生まれていく。これこそが、日本企業が持つ独自の強み。
組織の安定を保ちながらも、未来への種を育てる「両利きの経営」の日本流アプローチなのです。
ただし、出島が単なる「特区」として孤立してしまっては意味がありません。その成功体験をどう本体に還元し、全体の変革につなげるか。
そこに知恵を絞ることが、真の組織開発のカギなのです。
僕の場合は、新しい組織をつくるようなことはせず、現実のしがらみから、いい意味で離れられる「研修」の特性を生かしてアクションラーニング型のプロジェクトとして支援していました。
お察しのとおり、この出島戦略=クリエイティブなチームづくりです!
日本企業の新たな進化の第一歩としていかがでしょうか。