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業績悪化のときこそ、組織開発である。

組織変革の支援をすることになった大手企業のある組織の部長さんが言いました。

「昨年度までは、メンバーの内発的動機によって組織のありたい姿を比較的自由に考えることが許されました。

しかし、業績の悪化から、今年度は経営陣から、とにかく事業計画に定めたことを着実に実行して結果を出せということなので、

残念ながら取り組もうと思っていた組織開発は棚上げにせざるをえません」

 

私は、内心「しめた!」と思いました。組織開発の本質に踏み込めると思ったからです。

アカデミックにおける組織開発の第一人者である南山大学の中村和彦教授によれば、組織開発の目的は「組織の健全さ、効果性を高める」ことにあります。

組織の健全さは、仕事生活の質、お互いの関係性の質、権力の最適なバランス、ワークモチベーションの高さなどの(中略)組織内の人々の幸せ度」のこと。

組織の効果性は、組織の目標に到達する力、組織の構成員やチームの潜在力を発揮できること、環境の変化に適応し対処できること」を指します。

 

上記の組織で言えば、自分たちで考えたありたい姿を、経営に求められる環境の変化に適応しながら、なんとかすることこそが、組織開発ということです。

組織の「健全さ」と「効果性」は、ある意味では、相反するように見えるかもしれません。が、その矛盾や葛藤を乗り越えない組織開発は偽物だと私は思います。

「健全さ」に偏ると、ふわーっとした現実味のない世界に陥りがちだし、「効果性」に偏ると、意味や目的なく、とにかく達成することに走りがちになってしまいます。

 

ワールドカフェ、オープンスペーステクノロジー、フューチャーサーチ、アートオブホスティング、AI等々、組織開発関連の手法は世の中にたくさんあります。

が、これをやることが組織開発ではありません。これらは、組織開発の目的を実現する手段として活用することが大事です。

そのためには、手法ありきでなく、まず、組織が直面するリアリティについて自分自身で考えることから始めることでしょう。

 

 

 

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