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「創発戦略」という手がかり

4/13に投稿した2つのBLOGを見て、あれっ?と思った方は、するどいです(笑)

アメリカ企業による計画的に策定され、計画的に遂行される「戦略」の話 https://tongari-team.com/theory/1441/と、

森や自然の在り方に組織が何を学べるかという話 https://tongari-team.com/sus/1426/ は、

思いっきり矛盾するのではないかと!! そのとおりですね。

ただ、イノベーションは、このような一見相反する要素を統合できたときに起きやすいもの。

僕はそれを統合できると考えています。

VUCAの時代だからこそ、われわれはいかに在り、どう生きていくのかの軸になる方向性を「戦略」として持つことは有効と考えます。

でも、未来を的確に分析・予測した上で、戦略を計画的・体系的に形成していくのは無理がありますね。戦略は大事だけど、その形成のされかたや本質は変容する必要があるでしょう。

そこに、生命関係学の清水博先生の言う「生物的な知」を取り入れます。

「ひとつには、生命的要素はそれぞれの主体性を保持した上で、相互に協力して互いに整合的な表現をとることができる関係coherentな関係)を生成する傾向があること」

「その多様性の一方で、多数の要素の集まりが全体として一つの統合された表現を表出する性質をもっていること」

組織に応用して考えると「これまでの知識や経験に従属する立場から、自由自在な自己表現(即興劇)をおこなう立場(場の立場)に変わり、市場や社会の変化を直感的に読み取り、それにもとづいて企業活動のストーリーをつくり、実行していくということになる」

少しわかりにくいかもしれませんが、ビジネス現場での対話をファシリテートしてきた経験からすると、すごく分かる気がします。

つまり、一人ひとりの想いや経験をもとに、それぞれの持つ多様な視点で、組織に潜む問題に向き合い、試行錯誤していると、われわれにとって、こっちに進むことが自然ではないかと感じ取れるような方向性が見えてくることがあります。

それを戦略として取り込むということですね。

経営学者のヘンリー・ミンツバーグは、このようなことを「創発戦略」(emergent strategy)と呼んでいます。

現実的には、創発戦略の一本足ではなく、計画的なプラニングの足と創発の足の二本によって、論理的思考、統制と柔軟な思考、組織学習をうまく調和させることが優れた戦略策定には必要だとも述べています。

これって「大地の再生」矢野智徳さんの「現代土木の行き過ぎを軌道修正するのに、コンクリート構造物を壊す必要はない。これを生かしながら、大地における空気と水の循環を成り立たせる共存は可能」と奇しくも符号しますね!!

いま、事業パートナーとしてかかわっているADS株式会社https://www.a-d-s.solutions/では「コンセンサス型意思決定アプローチ」の方法論開発で、

株式会社プロセスラボラトリーhttp://www.processlabo.com/では「クライアント企業の中計への創発戦略アプローチ」支援で、上記のようなことにチャレンジ中です。

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