人材開発および組織開発の領域で、日本で最も著名な学者といえば、中原淳先生はおそらくその最右翼にくる方でしょう。
実は2011年に先生とはジンジュールという媒体掲載するために、企業研修のありかたについて対談させていただきました。
残念ながら2022年にそのサイトは閉じたので記事も消えましたが。
知識がとても豊富で、頭の回転がむっちゃ速く、どんな問いにも即答される印象が残っています。
さて、先生の書いた最新刊『人材開発・組織開発コンサルティング』のオンライン読書会が出版社のダイヤモンド主催で今週実施されたので参加しました。
先生が教えている立教大学大学院リーダーシップ開発コースの教科書として執筆された経緯もあり、体系的にまとめられた大著です。
読書会でのプレゼンや対話の中で語られた想いがとても印象的でした。その中から3点ほど取り上げたいと思います。
ひとつめは、日本にもっと「アカデミックプラクティショナー」が育ってほしい。
つまり、高度な科学知に根差しながら人材開発・組織開発の観点から、経営・現場に価値貢献できる実践者。
そのためには科学知とともに臨床知(=他ならぬわたし自身が、個別・具体的で、それぞれ固有の意味を有した人々との出会いを通して、
彼らに働きかけつつ、達成されるようなもう一つの「知のあり方」)の必要性を強調されています。
僕自身は正直、ちょっと臨床知を重視しすぎる傾向があるので、もっと客観的なデータにもとづいた科学知とのバランスを取る必要があると感じていますが。
ふたつめは、「現場の抵抗こそご馳走だ」と喝破されたこと。
人・組織のありたい姿を目指しての変革をしようとするときに、現場の抵抗はつきもので、かつ、やっかいなものです。
しかし、先生によれば、その抵抗の裏には何か想いがあるのだからそれを手がかりにしない手はないと。何に対しても無関心な人よりも可能性があると。
ここには、矛盾・葛藤・対立・混沌などへ入り込むのにわくわくする僕にとって両手を上げて賛成するところですが、まぁこれも臨床知のひとつでしょうね。
最後に、とはいえ「型」が必要であると。
普遍的、体系的なものとして人・組織が動く方法論=型がまずあってこそ共有し実践することができるし、また破る(型破り)こともできると。
僕自身は「型を破ってほしい」という先生の想いを真に受けて(笑)本書をクリティカルに読み込んだ上での新説をご提示したいと思っています。
構想は既に頭の中を渦巻いています。